
青森県弘前市の夏を代表する「弘前ねぷたまつり」を見てきた。
弘前の街を歩いていると、祭りが始まる前から、どこか落ち着かないような高揚感が漂っていた。通りにはねぷたまつりの案内が並び、夕方になるにつれて沿道に人が集まり始める。
やがて笛と太鼓の音が聞こえ、「ヤーヤドー、ヤーヤドー」という掛け声とともに、明かりを灯した大きなねぷたが街の中へ現れた。
写真や映像では何度も見たことがあったが、実物を目の前にすると、大きさも絵の迫力もまったく違う。
今回は、弘前ねぷたまつりの歴史や見どころとともに、弘南鉄道で巡った弘前の街についても紹介したい。
弘前ねぷたまつりとは
弘前ねぷたまつりは、毎年8月1日から7日まで弘前市内で開催される夏祭りだ。
2026年は、8月1日から4日までが土手町コース、8月5日と6日が駅前コースで午後7時から運行。最終日の8月7日は、土手町の午前コースで午前10時から運行された。
弘前ねぷたが確実な記録として残っているのは、享保7年、西暦1722年。弘前藩庁の「御国日記」に、5代藩主の津軽信寿がねぷたを見物したという記述がある。
2022年には、文献に登場してから300年という節目を迎えた。
弘前のねぷたは、1980年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。単なる観光イベントではなく、町内会や愛好会、職場団体など、市民の手によって長く受け継がれてきた行事だ。
弘前は「ねぶた」ではなく「ねぷた」
青森市で行われるのは「青森ねぶた祭」、弘前市で行われるのは「弘前ねぷたまつり」だ。
名前だけでなく、山車の形や掛け声、祭り全体の雰囲気にも違いがある。
弘前ねぷたで多く見られるのが、扇の形をした「扇ねぷた」だ。前面の「鏡絵」には、三国志や水滸伝などを題材にした勇壮な武者絵が描かれている。
反対側の「見送り絵」には、女性などを題材にした静かで幻想的な絵が描かれることが多い。
前から見ると力強く、通り過ぎた後に振り返ると、今度は繊細でどこか妖艶な絵が見える。
一台のねぷたで、まったく違う二つの表情を楽しめるのが面白い。
扇ねぷたのほかに、人形などを立体的に組み上げた「組ねぷた」も運行される。
「ヤーヤドー」の掛け声と太鼓の音
弘前ねぷたまつりでは、笛や太鼓の囃子に合わせて「ヤーヤドー、ヤーヤドー」という掛け声を上げながらねぷたを曳く。
遠くから太鼓の音が近づいてきて、その後に明るく照らされたねぷたが姿を見せる。
大きなねぷたは、ただ真っすぐ進んでいくだけではない。
沿道の観客に正面の絵が見えるように方向を変えたり、道路上の電線や看板をかわしたりしながら進む。
巨大なねぷたを人の力で押し引きし、狭い街中で動かしていることにも驚かされた。
後ろには囃子方が続き、子どもから大人まで大勢の人が祭りに参加している。
完成したねぷたを見るだけでなく、それを作り、運び、囃子を演奏し、毎年受け継いでいる人たちがいる。弘前ねぷたは、街全体で続けている祭りなのだと思った。
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昼と夜では印象が変わる
ねぷたは明るい時間に見ても、絵の細かさや色の重なりを楽しめる。
でも、夜になって内部の明かりが灯ると、印象が一気に変わる。
暗い街の中に武者絵が浮かび上がり、赤や青、緑、黄色が鮮やかに見える。紙に描かれた絵なのに、人物がこちらへ迫ってくるような立体感がある。
ねぷたがゆっくりと目の前を通り過ぎていくと、今度は見送り絵が現れる。
勇ましい鏡絵から、静かな見送り絵へ。
正面だけを見て終わらず、通り過ぎた後に後ろ側を見るところまでが、弘前ねぷたの楽しみ方だと思う。
弘南鉄道で弘前の街を楽しむ
今回の弘前滞在では、弘南鉄道の車両や駅の様子も撮影した。
弘南鉄道は、弘前駅と黒石駅を結ぶ「弘南線」と、大鰐駅と中央弘前駅を結ぶ「大鰐線」の2路線を運行している。
弘前ねぷたまつりの駅前コースは、JRと弘南鉄道弘南線の弘前駅からすぐ。土手町コースは、弘南鉄道大鰐線の中央弘前駅から近い。
祭りのコースに合わせて弘南鉄道を利用すると、弘前の街を鉄道で移動しながら楽しめる。
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ねぷたまつり期間中は公共交通機関を確認
ねぷたまつりの運行時間中は、周辺道路で交通規制が行われる。
市内は大変混雑するため、自動車で移動する場合は、駐車場所や交通規制の時間を事前に確認しておきたい。
弘前駅や中央弘前駅から歩いて向かえるコースもある。
同じ弘前ねぷたまつりでも、8月1日から4日までと、5日・6日では運行コースが異なる。見に行く日が決まったら、公式サイトの運行・交通案内マップを確認しておくと安心だ。
弘前の夏を街全体で感じる祭り
弘前ねぷたまつりは、大きなねぷたを見るだけの祭りではなかった。
祭りが始まる前の街の雰囲気、遠くから聞こえてくる太鼓、沿道で待つ人たち、ねぷたを押し引きする人、囃子を演奏する人。
一つひとつが集まって、弘前の夏をつくっていた。
特に印象に残ったのは、ねぷたの絵の美しさだ。
力強い武者絵を正面から見た後、通り過ぎたねぷたの後ろに描かれた静かな見送り絵を見る。
派手さと繊細さが一緒に存在しているところに、弘前ねぷたならではの魅力を感じた。
弘南鉄道に乗り、弘前の街を歩き、夜は「ヤーヤドー」の掛け声とともに進むねぷたを見る。
弘前の歴史と、今も祭りを受け継いでいる人たちの力を感じる旅になった。
弘前ねぷたまつりの基本情報
- 開催期間:毎年8月1日~7日
- 開催場所:弘前市内の土手町・弘前駅前周辺
- 主なねぷた:扇ねぷた、組ねぷた
- 掛け声:ヤーヤドー
- アクセス:弘前駅、中央弘前駅などから徒歩
開催時間、運行コース、交通規制、有料観覧席などの情報は年によって変わる場合がある。訪問前には、弘前観光コンベンション協会の公式ページで最新情報を確認してほしい。
公式サイト・参考情報
※本記事は、筆者が2026年8月に弘前を訪れた体験と、弘前市、弘前観光コンベンション協会、弘南鉄道の公式情報をもとに作成しています。開催日程や交通情報は変更される場合があるため、旅行前に最新情報をご確認ください。
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